最高裁判所第二小法廷 昭和31(あ)706 判決
主 文
原判決および第一審判決中被告人に関する部分を破棄する。
被告人を免訴する。
理 由
弁護人浅川文哉の上告趣意は末尾添付の別紙書面記載のとおりであるが、
職権で調査すると、
本件公訴事実は、被告人は第一、A、B、C等と共謀の上、制規の免許を受けず
かつ法定の除外事由がないのに、(一)通商産業大臣の承認を受けないで、昭和二
五年四月二〇日頃D港においてB所有の機帆船Eにインキ、化粧品、千切大根、シ
ンガーミシン、強心剤、スカール、神明丸、吸出膏、木材醤油、沢庵(鑑定原価計
六四八五〇〇円相当)を積み込み、同月二三日頃同港を出帆し、同月二八日頃南西
諸島a島に到着し、同月三〇日頃同所附近に右物件を陸揚げし、(二)同年五月一
二日頃a島において右Eに黒砂糖一三六六〇斤(鑑定原価計一六六三七八円八〇銭
相当)を積み込み、即日同所を出帆し、同月一九日頃D港に到着し、同日同所附近
に右物件を陸揚げして、それぞれ右各物品の密輸出入を遂げ、
第二、G、A、H、I、J、K等と共謀の上、南西諸島大島へ物品の密輸出をし
ようと企て、制規の免許を受けずかつ法定の除外事由がないのに、昭和二五年八月
八、九日の両日にわたり、大阪港水上警察署横海浜において木造貨物船L(総屯数
五一屯四八)にシヤベル、弁当箱、アルミニユーム鍋、馬穴、洗面器、グりアンチ
ン、ポマード、バニシング・クリーム、紛白紛、鉄製支那鍋、三ツ矢ソース、トオ
シ、竹製皿寵、帽子、痰壷、冷蔵庫、べ―クライト製食器、移植コテ、清酒、庖丁、
こて、シヤベル柄、シヤベル先、バネ、フライパン、ロープ、どんぶり、湯のみ、
茶碗、小皿、べルト、ほほ紅、フマキラ、電線、べーキング・パクダー、服地、ヘ
ラ台、オルガン(鑑定原価計六二〇二〇三円相当)を積み込み、同月一〇日同港を
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南西諸島b島へ向け出帆して、右物件の密輸出を図つてその予備をした、というの
であるが、
旧関税法ならびに外国為替及び外国貿易管理法の適用につき外国とみなされてい
た南西諸島b島およびa島が昭和二八年政令四〇七号附則八項ならびに昭和二八年
条約三三号一条、同附属書、昭和二八年一二月大蔵省、通商産業省令四号により同
月二五日以降本邦に復帰した結果、本件のような場合が、刑訴三三七条二号にいう
「犯罪後の法令により刑が廃止されたとき」に該当し、原判決および第一審判決中
被告人に関する部分を破棄しなければ著しく正義に反するものと認められることは、
当裁判所昭和二五年(あ)第二七七八号、同三二年一〇月九日大法廷判決、昭和二
七年(あ)第二四五六号、同三二年一〇月九日大法廷判決に徴し明白である。
よつて、刑訴四一一条五号、四一三条、四一四条、四〇四条、三三七条二号に則
り、裁判官全員一致の意見で、主文のように判決する。
検察官 山内繁雄出席。
昭和三二年一二月二〇日
最高裁判所第二小法廷
裁判長裁判官 小 谷 勝 重
裁判官 藤 田 八 郎
裁判官 河 村 大 助
裁判官 奥 野 健 一
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